「他者を変える技術」を知りたい方へ
「内部表現」とは、「人が認識している世界」そのものです。
この認識を「変える」ことが出来れば、「他者」を操作することが出来ます。
はじめまして。苫米地式コーチング認定コーチの渡辺です。
「内部表現を書き換える」と「自分」も変わるし「相手」も変わります。
それだけでなく、「世界」も変わります。
どちらを変えても、お互いが連動して変わるのです。
この記事では、「内部表現を書き換える方法」をお話しします。
内部表現とは?
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内部表現とは?
心理学者の扱う「心」と脳科学者が扱う「脳」は、違う抽象度で語られているだけで「実際は同じものです」
認知科学では、「脳と心をセット」として考えて「内部表現」と呼びます。
内部表現とは、「人が認識している世界」そのものです。
- 自分が見ている目の前の世界
- 過去の記憶
- 今考えていること
- 自分の価値観
- いま感じている感情
すべてが、「内部表現」です。
自分の「脳」と「心」に映るすべての世界が「内部表現」なのです。
目の前の世界は情報状態
私たちの目の前の風景は、五感から得られる情報を「脳で合成」してたものです。
- 視覚情報
- 聴覚情報
- 触覚情報
- 味覚情報
- 嗅覚情報
これらの情報が「脳内で合成されて」目の前の世界を認識しています。
つまり私たちが認識している目の前の世界は、「情報状態」なのです。
この脳内での「情報状態」を内部表現と言います。
仮想空間も内部表現の一つ
「内部表現」は、「物理空間」だけではありません。
- 本
- 映画
- ゲーム
などの「仮想空間」も「内部表現」の一つです。
たとえば、小説は文字で書かれています。
にもかかわらず、私たちは臨場感を感じます。
それは、小説の世界を脳内で描いているからです。
現実の出来事でもないのに、小説を読んで泣いたり笑ったりできるのは「内部表現」の影響です。
映画やゲームなども、脳内では実際に経験したのと同じ影響があります。
「物理空間」
でも
「仮想空間」の情報でも関係なく、
脳内で合成されて「内部表現」になります。
人は簡単に洗脳されてしまう
「仮想空間」の出来事にも「内部表現」が適用されるのは、人間の持つ大きな特徴です。
このおかげで、人間は想像力を働かせてクリエイティブな仕事が出来るのです。
でも、そのせいで人は洗脳されてしまうのです。
洗脳では、洗脳する人が作った仮想空間に臨場感を持たせることで相手の「内部表現の書き換え」が行われます。
具体的には、どのように行われるのでしょうか?
他者の内部表現を書き換える方法!
イメージを見せる
相手の「内部表現」に、自分の作ったイメージを書き込みます。
そうすることで、相手を自分のイメージ通りに動かすことが出来ます。
簡単に言えば、相手にも自分の見ているイメージを見させて、それを操作する。
これが、「内部表現の書き換え」のやり方です。
ステップ1 相手のイメージを模索する
AさんがBさんの内部表現の書き換えを行う場合は、
- Aは「Bの内部表現」に
- 自分の作ったイメージを書き込むために、
- Bのイメージを模索します。
ステップ2 お互いに共通するイメージを見つける
AはBの話を聞きながら、Bの記憶を探ります。
お互いの記憶の中から共通したイメージを探すのです。
内部表現を書き換える場合には、「お互いに共通のイメージ」を持つ必要があるからです。
Bが違うことを考えていたら、AはBの内部表現に介入できません。
ステップ3 お互いに共通のイメージに臨場感を持つ
たとえばその時、Bが飼っている猫の「たま」のイメージを持っていたとします。
でも、Aは実際に猫の「たま」を見たことがありません。
そこで、Bの話を聞きながら猫の「たま」のイメージを模索します。
Aは、自分の中の猫の記憶から「たま」のイメージを作ります。
お互いに共通の猫のイメージをAが作り、そのイメージをBにも作らせます。
ステップ4 体感を伴うイメージを作る
人間は、体感を伴う記憶が一番臨場感が高くなります。
お互いが猫に対して体感した記憶。
似通った記憶を引っ張り出して仮想的な体験を作ります。
ステップ5 共通の身体イメージを作る
AはBと共通した「身体イメージ」のCを作ります。
猫を抱いてリラックスしている時の共通の「身体イメージ」をCは持っています。
- 猫の背中を撫でている時の体感。
- 柔らかい猫の毛の触感
- 猫のかわいいしぐさ
- 猫の喉がゴロゴロなる感じ
などの「身体イメージ」を共有しているCを作ります。
ステップ6 共通の身体イメージCに書き込む
Aは、猫を抱いてリラックスしている人Cをイメージします。
Aの作ったCの「身体イメージ」に、Bも臨場感を持つように仕向けます。
AとBが臨場感を感じている共通の身体イメージのCに書き込みをします。
AがBにやってもらいたいことをCに書き込むと、Bに伝わります。
まとめ
- 相手の話の中から共通のイメージを探す。
- 共通の身体イメージを持つCをイメージする。
- CにAがやってもらいたいことを書き込む。
- それがBに伝わり、Bはそれをやりたくなる。
注意点
お互いに共通の身体イメージに臨場感を持つには、お互いに「変性意識状態」にあることが必要です。
そこで、次に「変性意識の作り方」についてお話しします。
変性意識の作り方
変性意識とは?
変性意識とは、臨場感を感じている世界が「現実世界」ではなく「仮想世界」にある状態です。
内部表現の書き換えの時は、「書き換える側」も「書き換えられる側」も「変性意識状態」になっています。
誰もが変性意識状態を経験している
「変性意識」は、実は誰もが日常的に経験しています。
たとえば、
- テレビ
- 映画
- 読書
などに没頭しているときがそうです。
- 映画を見て泣いたり
- 小説を読んで感動したり
「仮想世界」にもかかわらず、そこに「臨場感」を感じている状態が「変性意識状態」です。
変性意識をコントロールする
内部表現を書き換えるには、この変性意識にかかっています。
いかに
- うまく
- 深く
相手を変性意識状態に出来るかが重要です。
通常だと、変性意識は無意識に起こります。
でも、変性意識をコントロール出来れば
- 自分
- 相手
の両方を変性意識状態にすることができます。
変性意識の簡単な作り方
「呼吸」を意識的に上げることで、簡単に変性意識を生成することが出来ます。
- 椅子に座ってリラックスする
- 呼吸を意識しないで
- 息を吐きだしながら体をゆるめる
この呼吸法を10分~20分続けていれば、「変性意識状態」を生成できます。
- 息をするときに
- 吐き出しながら
- 体をゆるめる
だけなので、誰でも簡単に出来ます。
1~2週間、続けると感覚がつかめてきます。
内部表現の書き換えのカラクリ
ホメオスタシスの働きを利用する
内部表現の書き換えで欠かせない人間特有の現象が、「ホメオスタシス」です。
内部表現(心)を書き換えると、「身体」に影響が与えられるのです。
それは、「ホメオスタシス」の働きです。
内部表現の書き換えは、「ホメオスタシス」の働きを利用して行われます。
ホメオスタシスとは?
「ホメオスタシス」は、「恒常性維持機能」と訳されます。
人間は生きていくために、無意識に体の様々な機能が安定的に働いています。
たとえば、
- 心拍
- 呼吸
は、一定のリズムで行われています。
これは、「ホメオスタシス」が正常に働いているおかげです。
ほかにも
- 暑いと汗をかいて体温を下げる
- 寒いと体が震えて体温を上げる
これらも、体温を一定に保とうとする「ホメオスタシス」の働きです。
ホメオスタシスと内部表現の書き換え
内部表現は、小説などの「仮想空間」でも適応されます。
内部表現が書き換えられると、身体に影響が与えられます。
これを、「ホメオスタシスフィードバック」と言います。
私たちは、文章を読んで脳内に小説の世界という「仮想空間」を作ることが出来ます。
そして、「仮想空間」の影響で
- 感動したり
- 笑ったり
- 泣いたり
することができます。
これは、ホメオスタシスも「仮想空間」で働いていることを意味します。
小説を読んで涙を流すのは、
- 内部表現に描かれた世界に
- ホメオスタシスが反応している
からです。
他にも、
- 映画の怖いシーンで
- ドキッとして飛び上がる
のもホメオスタシスが「内部表現の更新」に合わせて反応しているせいです。
ホメオスタシスは他人に同調する
ホメオスタシスには、もう一つの大きな特徴があります。
それは、他人に同調するということです。
たとえば、
2人の人間が同じ空間に長い間いると、自然とホメオスタシスが同調してきます。
- 呼吸
- 心拍
のリズムが同じになっていくのです。
女性の場合は、同居すると生理周期が一致するようになります。
相手を操作する
ホメオスタシスには、
- 内部表現の更新に合わせて反応する
- 他人に同調する
という特性があります。
これは、
- 相手と同調する
- 相手の世界に入り込む
- 自分のイメージを操る
ことで、「相手を操作できる」ということです。
洗脳の現場では
「洗脳」では、ホメオスタシスはの特性を最大限に利用します。
他人の内部表現に
- 自分の作り上げた内部表現を
- ホメオスタシス同調を使って
- 移植していきます。
これも、「内部表現の書き換え」の技術が使われています。
苫米地式コーチング認定コーチ 渡辺 実