先日、私は10歳の子供に頼まれてカレーライスの作り方を教えました。
私は、カレー作りの達人でカレーのことならだれにも負けない知識があります。
その時、私は子供にどんな風にカレーの作り方を教えたでしょうか?
想像してみてください。
まず、材料の下ごしらえを教えます。
玉ねぎを刻んで、人参を切って、ジャガイモの皮をむいて、肉を切って・・・という具合に。
私は、カレー作りの達人で、カレーの作り方について膨大な知識があります。


でも、子供はカレー作りは初めてです。
とりあえず、子供は自分なりにやってみようとしました。
でも、私は子供が包丁で玉ねぎを刻んでいるのを見ていると、危なっかしく感じました。
そこで、私は子供に玉ねぎの切り方を教えました。
「玉ねぎを刻むときは、手を猫の手にして玉ねぎを動かないように押さえて切れば安全だよ」
という具合に。


それにもかかわらず、子供は危なっかしい手つきで玉ねぎを切ります。
私がいくら注意しても、子供は自分なりのやり方で玉ねぎを切っています。
私は、子供にこう言いました。
「危ないから、やめなさい」という風に。
すると子供は、「教え方が悪い!」といってふてくされて、どこかに行ってしまいました。
これは、親子の関係ではよくあることだと思います。


始めはカレーを作ることで親子で目的が一致していました。
でも、子供の危なっかしい玉ねぎの切り方を見て、私は子供の安全の方を優先しました。
私は、私の役割をカレーを教える人から親に変えてしまいました。
親の立場からすれば、正しい判断をしたと思っています。
でも、子供はカレーの作り方を教えてほしかったのです。


この時、大切だったのは子供に喜ばれるような関係性を作ることだったのです。
私はカレーの作り方は達人でも、教え方は上手ではありませんでした。
私には親としての役割以外にも果たすべき役割があり、それこそが子供が私に対して求めていたものだったのです。
親子関係を良くするためのヒントがここには隠されていると思います。
苫米地式コーチング認定コーチ 渡辺 実